読んだその日から楽になる!英語コミュニケーションへの処方箋

コミュニケーションへの処方箋

私はこれまで1,000名以上の留学生、英語学習者を見てきました。その多くはスピーキング能力を高め、外国人とコミュニケーションをしたいという動機で学習されています。また私が英語を勉強し始めた理由も、やはりコミュニケーションしたいという気持ちからです。しかし「勉強しても、うまく伝えられない。やっぱり私は向いてないんだな。」と諦めてしまう方も一定数います。

これは私に言わせれば非常にもったいない。私は数多くの英語で仕事をしている人、海外で生活している人、たくさんの外国人の友人がいる人を見てきましたが、ペラペラ喋れること、あるいはひたすら知識を詰め込むことが大切なわけではないと考えています。大切なことは英語でコミュニケーションができるようになることです。

そこで今回は、英語でうまく伝えられない方でも、今日から使えるコミュニケーションを円滑にする考え方を紹介していきます。私の学習経験、講師経験や多くの留学生の経験などに基づいて話をしていきますので、なにかの参考になれば幸いです。ではいきましょう!

コミュニケーションの本質を考えよう

コミュニケーションの本質

まずはコミュニケーションそのものに目を向けてみましょう。英語をペラペラと話す。こういった人がコミュニケーション上手かと思うかもしれませんが、はたして本当にそうでしょうか。コミュニケーションは一方通行ではなく、双方のインタラクション。コミュニケーション能力=スピーキング・リスニング力と単純に考えるのは私は賛同しません。確かにそれは重要な要素であることは間違いありませんが、日本人同士でも「コイツ…一体何を言ってやがるんだ!」と会話中に拳を握りしめたことがあるはず。私たち日本人は基本的日本語のスピーキング・リスニング力に問題はありませんが、それでもこんなことが起きてしまいますね。そう考えると、この図式はコミュニケーションにこれらは必要だが、それだけでコミュニケーションが成立するわけではないと言うことができます。

ではそもそもコミュニケーション能力とはどんなものなのでしょうか。コミュニケーション能力の定義はたくさんの学者によって研究され、様々な見地があるそうです。その中でも「文法的能力」「談話能力」「社会言語能力」「方略的言語能力」の4つに分ける定義が非常にわかりやすいと感じたので、その定義を基に、どういう勉強をしていくべきか、どういった目標を立てるべきかなどを紹介していきます。研究者ではないので定義の理解に多少の誤解があるかもしれませんが、あくまでコミュニケーションへの処方箋ととらえて頂ければ幸いです。

1・文法的能力

まずは文法的能力。ここには文法、語彙だけでなく発音やアクセントなども含まれており、要するに言葉の正確性を指している部分です。通常私たちが考えがちな英語が上手な人は、文法的能力の高い人だと言えそうですね。また多くの学校教育もこの文法的能力の向上を目指したものを提供しており、多くの学習者もこの一点にフォーカスを当てて勉強しているように感じます。

ここはやはり言語の根幹でもあるため継続的に学んでいくべきですが、すぐに文法的能力が伸びることはありません。またこの能力の習得だけを目標とした場合、その高いハードルに挫折してしまうことがあります。これから紹介するその他3つの能力と合わせて、今の自分でもできるコミュニケーション方法を探ってみましょう。

2・談話能力

これはDiscourse Competencyと英語で言い、要するに正しい文脈を作れる能力を指しています。例えば「私はロックが好き」「私は昨日、腕立て伏せをした」はどちらも文法的には問題ありません。つまり文法的能力はOKですね。しかし「私はロックが好き、だから私は昨日、腕立て伏せをした」という文脈になったら、「コイツ…一体何を言ってやがるんだ!」となりますよね。「私はロックが好き、だから私は昨日、ギターを弾いた」だったら、文脈的に理解できます。こういった能力が談話能力です。こういった繋ぎの言葉はとても大切。特に話をうまくまとめられない、論理を展開できない、英語で伝える力が弱いと感じている方は、一度これらの知識を整理してみましょう。またそもそも繋ぎ言葉をあまり知らない人は、今使っている単語帳は一旦置いて、これらの単語を丸暗記するのも手です。

日本語で繋ぎ言葉を紹介しているサイト:http://eigokyousitsu.nomaki.jp/terms/discourse.html
英語で繋ぎ言葉を紹介しているサイト:https://lincs.ed.gov/readingprofiles/Signal_Words.pdf

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2016年12月14日

3・社会言語能力

これは一言で言えばTPOを踏まえた言葉遣いをする能力です。TPOとはTime(時間) / Place(場所) / Occasion(状況)の頭文字ですね。例えば渋谷のギャルが普段の言葉遣いで話した場合、私はつい「とりま理解するの辛め!」と叫ばずにはいられないでしょう。またビギナーの方に向かってドヤ顔でペラペラしゃべる人も一定数いますが、ビギナーの方も「とりま理解するの辛め!」というのではないでしょうか。

これらは少し極端な例かもしれませんが、いつ、どんなときに、どんな状況で、誰に向かって話すのかという視点を持つことで見えてくることがあります。

文化的背景を大きく背負ったイディオムを学ぶ必要はありますか。仲間内だけで通じるようなスラングを学ぶ必要はありますか。やたらと難しい単語を学ぶ必要はありますか。アメリカ人ほど音を連結させる必要はありますか。そんなに早く話す必要はありますか。あれば、しっかり学びましょう。無ければ、捨てればいいんです。渋谷のギャルと話したかったら「その服、最高かよ!」って話しかければいいんです(多分)。

このように、まずは自分がどんなときに英語を使いたいのか。そしてそれに基づき、自分にとって何を優先して学ぶべきかを考えてみましょう。不要な学習は捨ててOK。あれもこれもと手を出して、何も手に入れられないほうが問題です。

参考:109ニュースシブヤ編集部

4・方略的能力(ストラテジー能力)

最後の方略的能力こそ、私が一番紹介したかった部分です。方略的能力とは、要するにコミュニケーションを続けるための能力です。こちらも研究者たちにより様々な定義が試みられていますが、今回は以下の定義に基づいて紹介していきます。

① Avoidance(回避)[話題回避、メッセージ放棄] ② Paraphrase(言い換える)[近似表現、造語、遠回し] ③ Borrowing(借用)[直訳、言語混合] ④ Appeal for assistance(助けを求める)
⑤ Mime(ジェスチャー)
出典:中学生の英語のスピーキング能力を伸ばす指導プログラムの開発 ~方略的能力に注目して~

同調査によると、中学生に方略的能力を伸ばすプログラムを作ったところ、発話量が倍増し、スピーキング能力の向上に確かな成果が見られたとのことです(この研究では「言い換え」「助けを求める」に「時間を稼ぐ(well… / let me see…など)」を加え、実験を行ったそうです。詳しくは上記URLをご覧ください)。

これは私の経験とも合致しています。英語力がそこまで高いわけではなくても、この方略的能力が高いためにスムーズにコミュニケーションしている人もたくさん見てきました。ではもう少し具体的に突っ込んでいきましょう。

1・Avoidance(回避)

これは要するに、苦手な話、できない話は避けよ、ということですね。留学生から定期的にいただく質問として「スピーキングのテーマが日本語でもうまく説明できないのに、英語でなんて無理!」というものがあります。例えば「あなたにとって愛とは何ですか?」といきなり言われても、日本語でも困惑してしまう人も多いはずですよね。そんなときは、私はちょっとわからない、あなたはどう思うの?などと質問し、相手の話を膨らませるようなアプローチをすることもできます。またスピーキングの授業中であれば、別のトピックにしようと提案すればOK。逃げてるような気もしますが、これはとてもクレバーなアプローチだと私は思います。

2・Paraphrase(言い換え)

わからない単語があったら、すぐに辞書を引く人も多いでしょう。もちろんダメということはありませんが、言い換えられないか考えてみるのも有効な方法です。前掲の調査ではキリンを「An animal」「 in Africa」「long neck」「it runs fast」などと言い換えて説明できると述べています。また日本語の対訳が難しい言葉もたくさんあります。例えばお疲れ様、先輩、よろしくお願いしますなどがそうですが、これらも状況に応じて言い換えていくことでスムーズにコミュニケーションできるでしょう。

例えば挨拶としての「お疲れー!」だったら、「Hi」とか「What’s up」とか言い換えることができますね。単語は継続的に勉強してほしいですが、言い換える力を身につけることも大切です。これだけでグッと会話が楽になるはずですよ。

3・Borrowing(借用)

掃除機(vacuum cleaner)であればsweeping(掃除) machine(機械)のように分けて考え、それぞれ訳を当てていく方法です。言い換えと少し似ていますが、これも良い方法ですね。例えば肉食動物(carnivorous)であれば「meat-eating animal」、超高層ビル(skyscraper)であれば「very high building」という感じでしょうか。難しい言葉を知らなくても、これなら会話できそうですね。

また言語間での借用も場合によっては有りだと言われ、「He is always a genki boy」が一つの例に挙げられています。

4・Appeal for assistance(助けを求める)

これは「あれ、何て言うんだっけ…」とか「ごめん、ちょっとゆっくり喋って!」とか相手に助けを求めることです。私も結構使いますし、日本語でも結構使うのではないでしょうか。What is it called?(これなんて言うんだっけ?)Would you speak slowly?(もうちょっとゆっくり話してもらえますか?)などを使うことは恥ずかしいことではありません。むしろわからないのに適当に返事をするほうが相手に対して失礼ではないでしょうか(昔の私は完全にそのタイプ)。

5・Mime(ジェスチャー)

最後はジェスチャーです。困ったら、身振り手振りで伝える。それっぽい態度や話し方で話す。声色を変えてみる。それだけでも伝わることがたくさんあります。これは実際見たほうが分かりやすいかと思います。とても面白い動画がありますので、ぜひチェックしてみてください。

参考文献:
広島大学外国語教育研究センター|方略的能力に関する理論的背景
wikipedia – コミュニケーション能力

まとめ

いかがですか?何となく今日からもうちょっとスムーズにコミュニケーションできるような気持ちになってきませんか?ぜひ自分に足りない要素を考え、今日からさっそく実行してみましょう。セブ留学では嫌でもコミュニケーションせざるを得ないので、文法的能力以外の能力が育ちやすい環境です。そういった意味では、留学はコミュニケーション能力向上にとても効果的だと言えますね。

しかし、文法的能力以外を駆使してとりあえずコミュニケーションができてしまうと、文法的能力をおろそかにしてしまうケースも多々あります。もちろん、それでも困らない人は大丈夫。ただ、文法的能力も継続的に学ぶと更にどんどんコミュニケーションが楽しくなって、相乗効果が期待できますよ。ぜひ一度、コミュニケーションを見直してみてください。

コミュニケーションへの処方箋

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